重本内科 糖尿病内科

糖尿病内科について

Diabetes internal medicine


・近年、糖尿病は非常に多い国民病です。糖尿病は、著明に血糖が悪くならないと自覚症状が全くないため、定期的に血液検査で血糖をチェックしないと糖尿病があるかどうか、血糖が安定しているかどうか自分ではなかなか判断ができません。会社の定期健診で血糖が上がってきていることを指摘されたり、風邪などの体調不良で採血した際に、たまたま血糖が高いのが見つかって、糖尿病と診断されることがあります。

 

・糖尿病の初期の段階では自覚症状はほとんどなく、健診などで初めて高血糖を指摘されても、病院に通院せずに、治療を放置すると、血糖が増悪を認めていた場合には徐々に糖尿病合併症が進行してしまいます。

・初めて糖尿病と診断された場合には、まずは食事療法として、ご飯やパン、果物といった糖質の摂取量を控えたり、間食を減らすなど、食生活の改善を行い、また、30分程のウォーキングを12回、11万歩を目標に行うなど、運動療法を合わせて行い、生活習慣の改善を行って、可能であれば一か月に1kg程の減量を目指します。

・生活習慣の改善を行ってもなかなか血糖の改善を認めない場合には、患者さんと相談の上、病態に合わせた薬物療法を開始致します。血糖が著明に高い場合や、糖尿病合併症が進行している場合には、最初から薬物療法を開始します。

 

・最近では、糖質制限が流行っていますが、お米やパンといった主食は控える方が多いものの、果物はつい健康にいいからと摂取してしまったりしている方がおられます。また、定期的に健診や病院に通院をしていないと、血糖がわからないので、のどの渇きを高血糖が原因と知らないままに放置してしまったり、糖分をたくさん含んだ清涼飲料をのどの渇きに応じて、つい多量に摂取して血糖が著明に悪化してしまい、糖尿病の合併症が進行してから病院を受診する様なことなってしまうこともあります。健診で引っかかっても、仕事が忙しかったり、自覚症状がないからと、病院に受診せずに自分で判断することは大変危険です。

糖尿病の合併症

 ・糖尿病は全身の病気と言われています。血糖が高いと感染症にかかりやすく、また手や足などに傷などがあった場合、糖尿病が無い場合よりも傷が治りにくくなってしまいます。また皮膚病や足の水虫、おしっこが出にくいことなども糖尿病と関連することがあり、また、男性の場合には、勃起障害も糖尿病の自律神経障害と関連がすることがあります。

 

・また、糖尿病の3大合併症として代表的なものに、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症があげられます。

 

・3大合併症について、それぞれ下記に解説していきます。


糖尿病性神経障害

diabetic neuropathy

糖尿病の3大合併症の中で、一番身近なものが糖尿用神経障害です。自覚症状については、手足のしびれなどが、日常生活に影響するほどきつい方から、ほとんど気にならない軽度の方まで、個人差がかなりあります。

 

糖尿病神経障害の特徴としては、しびれが左右対称で、両足の末端・両足裏、両手の末端などから自覚し、徐々に進展していきます。一方、両足でなく、片方だけの手・足のしびれなどは、腰や首からしびれの症状がきている可能性があります。

 

・また、身近な神経障害では、ふくらはぎがつるといった「こむら返り」も糖尿病神経障害の一つです。また、起立性低血圧(立ち眩み)も自律神経障害と関連していることがあり、症状がゆっくりと進行するため、無意識で気づかないことも多いです。


糖尿病性腎症

diabetic nephropathy

糖尿病性腎症

・糖尿病性腎症は、初期の段階では、健診などの尿検査で蛋白があるかないかの軽い異常程度(微量アルブミン尿)ですが、進行するとたんぱく量が増え、毎回尿検査で蛋白が出る状態(顕性蛋白尿)となります。

 

・高血糖状態が続くと徐々に尿たんぱくが増えて、足のむくみが生じやすくなり、腎機能(採血で尿素窒素、クレアチニン)が徐々に上昇していきます、糖尿病性腎症は、痛みなどの自覚症状はほとんどなく、なかなか自分で気づくことが難しいことから、サイレントキラーといわれています。

 

・病院に通院せずに高血糖を放置した場合、知らず知らずのうちに合併症が進行してしまうのが腎障害の特徴です。腎機能が著明に悪くなってしまうと、最終的には定期的な血液透析を行う必要が出てしまいます。自覚症状が無くても定期的に通院し、血糖をチェックして、合併症の進行を予防することが重要です。


糖尿病性網膜症

diabetic retinopathy

・糖尿病性網膜症は、初期の単純網膜症の状態では、自覚症状がありません。当院では、糖尿病と診断されたら、定期的に近隣の眼科に通院されているか確認し、普段眼科の通院が無ければ、定期受診を進め、必要に応じてご紹介させていただきます。

 

糖尿病と診断されたら、眼科にも必ず定期的に通院して頂き、早め早めに眼底出血の有無を眼科で評価してもらい、網膜症の進展を防いでいきます。

 

・あまり自覚症状がないため、眼科にいかずに高血糖を放置すると知らない間に眼底出血を起こしてしまい、徐々に目の見づらさを自覚するようになり、最悪の場合には、失明につながってしまいます。



インスリン治療について

当院では、外来でのインスリン導入が可能です。昔は、インスリン治療は糖尿病患者さんにとって一大イベントであり、大きな病院に入院してインスリン、血糖測定の手技の習得を行っておりました。しかし、徐々にインスリン製剤も進化して簡便化し、外来でのインスリン導入がスムーズになってきました。

 

インスリン外来導入のメリットは、一般的に1~2週間を要する糖尿病教育入院を行う必要がないので、外来で、自分のペースでインスリン手技、及び血糖測定手技を覚えて、自分のペースで徐々に注射手技の習得ができます。 インスリン治療が必要な患者様には、何回か外来でインスリン指導を行い、血糖測定器を貸し出し、自宅で血糖測定、インスリン注射を行ってもらいます血糖測定器を患者様に貸出し、専用の針とチップを外来で必要に応じて処方します。

 

・20224月より、持続グルコースモニタリング(CGM : Continuous Glucose Monitoring)の保険適用が拡大し、インスリン治療を行っている患者様には適応となりました。もともと血糖コントロールの難しい1型糖尿病患者さんに対して、糖尿病専門医のいる大きな病院を中心に、使用されていたフリースタイルリブレ®ですが、近年使用できる対象が非常に広がり、また診療所でも、使用ができるようになりました。専用のセンサーでスキャンすることで血糖値 (グルコース値) がわかるようになります。専用のセンサーを肩に装着し、1回の装着で14日間センサーをつけることができ、専用の器械をかざせば、現在の血糖値 (グルコース値) がすぐに表示されます。その場ですぐに血糖がわかるようになるので、血糖の時間変化を捉えやすく、低血糖に早期に気づいたり、食後の高血糖を見つけやすく、生活習慣の改善やインスリン量の調整に有用な検査器具です。当院ではフリースタイルリブレ® (アボット社)を使用しております。

 

下関市内には糖尿病内科医が非常に少ないのが現状です。特に旧豊浦郡にお住まいで、普段糖尿病に対してインスリン治療を行っており、遠方に出るのがなかなかい難しい糖尿病の方などの患者様は是非当院に御相談下さい。これまで約15年間、関西で糖尿病の治療を行ってきた経験を活かして、最適の治療を提案させて頂きます。                 


GLP-1受容体作動薬について

糖尿病の治療には、体重のコントロールが重要となります。糖尿病の治療にあたって、近年ではインスリンに加えて、頭の中枢から食欲を低下させたり、満腹感を来たすことで食事量を抑えて、体重の増加を招きにくいGLP-1受容体作動薬(注射製剤)が開発されました。

 

・当院では肥満を伴う糖尿病患者さんや、インスリンの使用を控えたい糖尿病患者さんに対して、病態を確認の上、必要に応じて、インスリン以外にも、11回タイプのビクトーザ®注射や、週に一回タイプのトルリシティ®注射なども御提案し、患者さんの病態に合わせた最良の糖尿病治療法を検討させて頂きます。また、インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用や混合製剤も最近は徐々に増えてきております。血糖コントロールを行いながら、体重増加を来たさない治療を、病態に合わせて御提案させて頂きます。(2023年以降、体重減量作用の強い一部のGLP-1受容体作動薬である、トルリシティ®、オゼンピック®等は全国的に頻用され在庫不足となり、出荷停止となっております。ビクトーザ®に関しては、継続処方可能です。)


診療案内

guide